火曜日の昼過ぎ、体が覚えている
火曜日の昼過ぎ。
昼飯をどうするか、頭で考える前に、足が勝手に向かう場所がある。
――ああ、今日は奥信州だな。
理由は説明できない。ただ、30年以上通っている。
それだけで、この店がどういう存在かは十分だ。
店の外観|変わらないという安心
派手さはない。
大宮区の街に、昔からそこにある顔で立っている。

戸を開けると、木の匂い。
昼下がりの静けさと、変わらない空気。
「いらっしゃい」
それでいい。
一人で食う昼飯に、余計な言葉はいらない。
ランチ限定 天ざるそば
席につき、迷わず注文する。
ランチ限定の天ざるそば。

ここはデカ盛りで有名だ。
だが、量を誇る店ではないことを、長年の付き合いで知っている。
お茶を飲みしばし待つ。

盆が置かれた瞬間、思わず心の中でうなずく。

――そうそう、これだ。
まずは蕎麦
箸で持ち上げると、蕎麦が素直に応える。
つゆにくぐらせ、ひと息で啜る。

香りが鼻を抜け、喉で切れる。
主張しすぎないが、芯がある。
派手じゃない。
だが、毎回「うまい」と思わせる。
天ぷらに手を伸ばす

衣は軽く、油が重くない。
噛んだ瞬間、音がいい。余計な水分がない。

まずは海老。
――でかい。
箸で持つと、ずしっと重みが伝わる。
一口かじると、身がぷりっと弾く。
衣に負けない存在感で、海老の旨みが前に出てくる。
これは、ちゃんと主役を張れる海老だ。


続いてイカ。歯切れがよく、後味が軽い。
さつまいもは、ほくっと安定の甘さ。
そして、人参。
一口かじる。

……甘い。
さつまいもより、はっきり甘い。
野菜の甘さが、油で輪郭を持つ。
――30年通っても、まだ驚かされるのか。
こういう瞬間があるから、やめられない。
薬味で締める

うずらの卵、大根おろし、ネギ、わさび。
少しずつ変化をつけながら、蕎麦を手繰る。
昼飯なのに、ちゃんと「食事」をしている感覚。
静かだが、満足感は大きい。
言葉が少ないのがいい
店の人と軽く目が合う。
多くは語らない。
それが、この店の距離感だ。
食べ終わる頃、蕎麦湯が出る。
白く、とろり。

つゆを割って、ゆっくり飲む。
――ああ、今日もちゃんと食べた。
また来る理由は、考えなくていい
特別な演出はない。
だが、量があり、味がまっすぐで、裏切らない。
大宮区で、昼に迷ったら。
思い出す前に、体が動く。
そういう店が、一軒あれば十分だ。
今回訪問した「大宮 蕎麦屋 奥信州」の詳細
大宮の蕎麦屋 奥信州へのアクセス
〒330-0803 埼玉県さいたま市大宮区高鼻町2丁目320−53 そば・うどん奥信州
| 営業時間 | 月・火・木・金・土・日 11:00 – 20:00 水 定休日 営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
| 駐車場 | 有 |

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