「麺屋 扇 SEN」のご紹介
土曜日の午前中。
車を止め、エンジンを切る。まだ店は開いていない。

……ふう。
まだ誰も来ていない。開店まで30分。
ただ待つだけのこの時間が、かえってありがたい。
腹の虫が静かに鳴き始める。
期待という名のスープが、少しずつ体の中に沸き立っていく。

11時。のれんが揺れた。
その瞬間、心の扉も一緒に開いた。

「濃厚塩つけ麺」と「チャーシュー丼」――
迷いは、ない。
食券を押す手に、ためらいはなかった。

カウンターに腰を下ろし、まずは水をひと口。
……冷たい。五臓六腑に沁みわたる。
ふと卓上を見渡す。
何もない。箸と水だけの、すっきりとした景色。

券売機の脇に視線をやると――
リンゴ酢、胡椒、ガーリックチップ。
控えめに、しかし確かに主張している。
「俺たちは途中からだ」と言わんばかりに。
……なるほど。
ここでは、まずは素材と向き合えということか。
そういう姿勢、嫌いじゃない。
料理が来るまでの時間すら、静かに胃を整えていく。

しばらくして着丼。
まずはつけ麺から。
白く濁ったつけ汁が湯気を立てている。
鶏のまろやかさと、魚介の奥ゆかしい香り。
レンゲでひと口、口へ運ぶと――


……うまい。
塩がビシッと舌を打ち、それを鶏白湯のコクがそっと包む。
やりすぎていない。だが、手を抜いてもいない。
じんわり、じっくり、芯まで染みる。

麺をくぐらせて啜る。
濃縮された旨味が、麺に絡みつき、口の中で弾ける。
うん……これは、塩の濃厚だ。
そしてその上には、肩ロースとバラ肉、二種のチャーシュー。

柔らかさの中に芯がある。味が違う、肉の個性だ。
交互に食べると、飽きるどころか次が楽しみになる。

途中でガーリックチップをひとつまみ。
……おぉ。
にんにくの香ばしさが追いかけてきて、
口の中が一気にスパークする。
これは……味変じゃない。
もうひとつの主役だ。

チャーシュー丼。
こっちも、抜かりない。
炙られた肉の香りに、甘辛のタレが絡んで……
……うん、飯が止まらん。
つけ麺のチャーシューとは違う。
焼きの香ばしさが、ご飯と踊る。
口の中に、別の物語が生まれる。
ふぅ……
ひとりで食べる飯は、自由だ。
でも、こんなにも心を満たしてくれるときがあるとはな。

「麺屋sen」、また来よう。
できれば、静かな午前に――。
今回訪問した「麺屋 扇 SEN」の詳細
麺屋 扇 SENへのアクセス
〒331-0047 埼玉県さいたま市西区指扇1085
営業時間 | 月・火・金 11:00 – 14:00 木・土・日 11:00 – 14:00 18:00 – 20:20 L.O. 20:20 水 定休日 ■ 営業時間 売り切れ次第閉店 営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
オープン日 | 2013年4月18日 |
公式アカウント | https://x.com/MenyaSen |
駐車場 | 有 |
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