【牡蠣小屋 ろっこ】仙台の夜はここから始まる。生も蒸しも110円で味わう立ち飲みの流儀

「牡蠣小屋 ろっこ」の外観。
目次

仙台の夕暮れ、腹は静かに牡蠣を求めている

杜の都、仙台。 日中の仕事を終え、ホテルに荷物を置くと、窓の外はすでに夕暮れの気配を纏い始めていた。
オレンジ色の光がビルの谷間に沈んでいくのを見届けると、ふいに、自分の中に潜んでいた「飢え」が顔を出した。

腹が、減った。

今日の俺の胃袋は何を求めている? 牛タンか? いや、昼に重たいものを食べたから、今はもっとこう……
海のミネラルを欲している。ちゅるんと喉越しが良く、それでいてガツンと旨味が押し寄せるもの。

「……牡蠣だ」

仙台に来ると、夜のスタートダッシュはいつも決まっている。
足は自然と、あのディープな路地裏へと向かっていた。

文化横丁の夕暮れ時の風景。昭和レトロな看板と提灯が並ぶ細い路地。

アーケード街の喧騒から一本路地へ入る。そこは「文化横丁」、通称ブンヨコ。
昭和の風情を色濃く残す、赤提灯とノスタルジックな看板が連なる細い道だ。
この独特の空気感。歩いているだけで、酒飲みのDNAが疼き出す。

どこからか漏れてくる焼き鳥の匂い、もつ煮の湯気。
数々の誘惑を振り切りながら、俺は迷いなく歩を進める。今日のターゲットは一つだ。

魅惑のいろは横丁。目指すは「牡蠣小屋 ろっこ」

となりの路地にあるいろは横丁に移動する。
提灯の明かりが灯る店々の間に、こぢんまりとした構えの立ち飲み屋が現れる。

「牡蠣小屋 ろっこ」の外観。

「牡蠣小屋 ろっこ」。 ここだ。仙台の夜、一軒目は絶対にここから始めると心に決めている。
なんせ、ここは俺にとってのオアシスなのだ。

扉戸越しに中を覗き込む。 しまった。
立ち飲みのカウンターは、すでに常連らしき客たちでびっしりと埋まっている。
皆、肩を寄せ合い、思い思いのグラスを傾けながら談笑している。
この熱気、この活気。やっぱり人気店だ。

「出遅れたか……」

諦めて別の店を探すべきか。そう思いかけたその時だ。
入り口近くにいた3人組のサラリーマンが、満足げな顔でグラスを空け、上着を羽織り始めた。

「お兄さん、ここ空くよ。どうぞどうぞ」

「あ、すみません。ありがとうございます」

なんて運がいいんだ。神様、いや、牡蠣の神様が俺を呼んでいる。
入れ替わるように滑り込んだカウンターの隅っこ。狭いけれど、妙に落ち着く特等席だ。
よし、陣地は確保した。あとは攻めるだけだ。

立ち飲みの醍醐味。110円の奇跡と対峙する

メニュー表。壁に貼られた短冊には「牡蠣1個110円」の文字が目立つ。

メニューに目をやる。 目立つのは、やはり「牡蠣 1個110円」の文字。
いつ見ても目を疑う価格設定だ。今の時代、スーパーで買うより安いんじゃないか?

俺は迷うことなく注文を告げた。
「生ビール。それと、生牡蠣を2個、蒸し牡蠣を3個お願いします」

立ち飲みのルールは、小気味良いテンポだ。ちびちび頼むのもいいが、最初はバシッと決める。

冷えたジョッキに注がれた黄金色の生ビール。泡が美しく乗っている。

すぐに生ビールがドンッと目の前に置かれた。 まずは、こいつで喉を洗浄する。

ゴクリ、ゴクリ……ぷはぁっ! うまい。
今日一日の疲れが、黄金色の液体とともに胃の腑へと落ちていく。
ビールが喉を通るこの瞬間、俺は「俺」を取り戻す。

ぷるん、つるん。生牡蠣の暴力的な旨さ

ビールでひと息ついていると、すぐさま主役が運ばれてきた。

2つの生牡蠣。身がふっくらとしている。

「お待たせしました、生牡蠣です」

おお……。見事な照りだ。殻の中で、海のミルクが艶やかに光を反射している。
110円だからといって、決して小ぶりなわけじゃない。立派な体躯をしている。

まずはレモスコを数滴、チョンチョンと搾るYUZUSCOもあるが、最初はシンプルにいくのが俺の流儀だ。
殻を持ち上げ、唇を添える。そして、一気に吸い込む。

つるんっ。

「……!」

冷たい牡蠣の身が、舌の上を滑る。噛むと同時に、プチンと弾ける海の香り。
強烈なミネラル感と、濃厚でクリーミーな旨味が、口いっぱいに津波のように押し寄せてくる。

うまい。なんだこれは。 生臭さなど微塵もない。ただただ、新鮮な海のエネルギーの塊だ。
たまらずビールで追いかける。牡蠣の余韻とビールの苦味が混ざり合い、喉の奥で極上のハーモニーを奏でる。

「最高だ……」

2個目の生牡蠣は、少しYUZUSCOを垂らして。うん、これもいい。
ゆずの風味が牡蠣の甘みをさらに引き立てる。あっという間に殻だけが残った。

湯気の向こう側。蒸し牡蠣という名の宝石

生牡蠣の余韻に浸っていると、今度は温かな湯気とともに蒸し牡蠣がやってきた。

熱々の殻に入った蒸し牡蠣が3つ。湯気が立っており、身はふっくらと縮んでいない。

「蒸し牡蠣です。熱いので気をつけてくださいね」

軍手などはなく、素手で殻の端をそっと持つ。あちち。
生牡蠣の透明感とは打って変わり、蒸された牡蠣は真珠のように白くふっくらと膨れ上がっている。
熱を加えることで身が縮んでしまう店も多いが、ここの牡蠣は弾けんばかりの張りを見せている。

箸で身をつまみ上げ、口へ運ぶ。 ハフッ、ハフハフ……。

「おおお……!」

熱々の身から、ジュワッと濃厚な出汁が溢れ出す。
生牡蠣が「海の暴力」だとすれば、蒸し牡蠣は「旨味の爆弾」だ。
熱を通すことで旨味がギュッと凝縮され、甘みが何倍にも膨れ上がっている。
噛むほどに、じわーっと深い味わいが染み出してくる。

うまい。生もいいが、蒸しも負けていない。むしろ、酒のアテとしては蒸しのほうが優秀かもしれない。

「生、蒸し、生……いや、蒸し、蒸し、生か? このループ、一生抜け出せないんじゃないか?」

レモンサワーと、アンコール生牡蠣

蒸し牡蠣3個を平らげたところで、生ビールが空になった。
胃袋のエンジンは完全に温まっている。ここらでさっぱりと口直しをしよう。

「すみません、レモンサワー。あと、追加で生牡蠣2個お願いします」

アンコールはやはり生牡蠣だ。あの、つるんとした喉越しがすでに恋しい。

牡蠣小屋ろっこのレモンサワー

レモンサワーの強めの炭酸が、火照った口内をリセットしてくれる。
キリッとした酸味が心地よい。そこへ、再び生牡蠣を流し込む。
冷たい、甘い、うまい。そして酸っぱい。

「完璧な布陣だ」

周りを見ると、隣の常連客も殻を山積みにしながら、楽しそうに日本酒を煽っている。
立ち飲み屋のこの距離感。誰と話すわけでもないが、見知らぬ酒飲みたちとこの空間、この熱気を共有している感覚。これがいいんだ。店員さんの無駄のない動きと、時折見せる人懐っこい笑顔も、最高の調味料になっている。

殻の山が物語る、至福の立ち飲み時間

食べ終わった牡蠣の殻が、皿の上に山積みにされている様子。

気づけば、目の前の皿には牡蠣の殻が山のように積まれていた。 合計7個の牡蠣。
これだけ堪能して、酒を2杯飲んで、お会計は信じられないほど安い。

「ごちそうさまでした。最高でした」
「ありがとうございます! また仙台来たら寄ってくださいね!」

店員さんの元気な声に背中を押され、店を出る。
夜のいろは横丁は、入った時よりも一層ディープな熱気を帯びていた。

胃の中には、確かに海の恵みが満ちている。 仙台の夜、一軒目としてこれ以上ない完璧なスタートだ。
さて、足取りも軽くなったことだし、次はどこへ行こうか。牛タンか、それともせり鍋か。

杜の都の夜は、まだまだ終わらない。

今回訪問した「牡蠣小屋ろっこ」の詳細

牡蠣小屋ろっこへのアクセス

宮城県仙台市青葉区一番町2-3-30 壱弐参横丁

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この記事を書いた人

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