都内へ向かう前の大宮駅、突然の空腹
時刻は午前10時半。今日はこれから都内で大事な商談だ。
埼玉県の巨大ターミナル、大宮駅。相変わらず人が多い。
新幹線、在来線、私鉄が交差するこの駅は、いつも独特の熱気と喧騒に包まれている。
足早に行き交う人々の波をかき分け、改札へ向かって歩いていると、ふと気づく。
…腹が、減った。
そういえば、今朝はバタバタしていてコーヒー一杯しか胃に入れていなかった。
都内に出てから何か食べるか?いや、ダメだ。今の俺の胃袋は、もう都内まではもたない。
この巨大な駅のどこかで、サクッと、しかし確実に腹を満たしたい。
そんな俺の鼻腔を、不意にくすぐる香り。醤油と出汁の、甘く、そして力強い匂い。
この匂い、間違いない。俺の足は、自然とその匂いの元へと向かっていた。
喧騒の中のオアシス、「大宮駅そば」
振り向くとそこにあったのは、見慣れた看板。「大宮駅そば」。
大宮で立食い蕎麦といえば、ここだ。久しぶりだな。
忙しいビジネスマンや、これから旅に出るであろう人々が、次々と暖簾をくぐり吸い込まれては、数分後には満足げな顔でさっと出ていく。この無駄のない回転の速さ。
まさに、忙しい現代人のための駅のオアシスだ。
よし、今日のプレランチはここだ。俺の腹は今、猛烈に立食い蕎麦を求めている。
券売機での決断!立食い蕎麦屋でまさかの「佐野ラーメン」
店先の券売機横にあるメニューボードに目をやる。

さて、何を入れようか。定番の「かき揚げそば」でサクサクの衣を出汁に浸して楽しむか。
それとも、甘辛いお揚げが乗った「きつね」か。いや、朝からガツンと「カレーセット」という手もあるぞ。
立食い蕎麦屋のカレーって、なぜか無性に惹かれるんだよな。
ん?
無数に並ぶ短冊の中で、視線が、ある一点でピタリと止まった。
「佐野ラーメン」 ……なんだって?大宮の立食い蕎麦屋で、佐野ラーメン? 普通なら見過ごして、いつもの蕎麦を選ぶところだが、今日の俺は少し違う。
立食い蕎麦屋が作るラーメン、しかもご当地の「佐野ラーメン」だ。
こういう想定外の変化球、嫌いじゃない。いや、むしろ、心が躍る。
立食い蕎麦の出汁香る店内で、あえてのラーメン。いいじゃないか。
「よし、君に決めた。しかも、大盛りだ」

俺は迷わず、券売機のボタンを力強く押し込んだ。

待つ時間もスパイス。そして、いざ着丼
「いらっしゃいませ!」 店内に入ると、威勢のいい声に迎えられた。
カウンター越しに、店員さんに食券を渡す。
「はい、佐野ラーメンの大盛りですね。少々お時間いただきますので、番号札を持ってお待ちください」

立食い蕎麦のスピード感の中にあって、ラーメンは少し茹で時間がかかるらしい。
だが、それがいい。美味いものを待つ時間こそが、最高のスパイスになるんだ。
ふと壁を見ると、誇らしげな張り紙が目に入った。

ほう、「駅そば名店100選」に選ばれたのか。やるな、大宮駅そば。
名実ともに駅そばのトップクラス。そんな名店が本気で作る佐野ラーメン。
俺の中のハードルが、グングンと上がっていくぞ。
「番号札18番のお客様、佐野ラーメン大盛りお待たせしました!」 「あ、はい」
カウンターでどんぶりを受け取る。手に伝わる、ずっしりとした重みと熱気。

おお……いいじゃないか。 立食い蕎麦屋のラーメンと侮るなかれ。
この澄み切ったスープ、ナルト、メンマ、たっぷりのネギ。
そして、存在感を放つ大ぶりのチャーシュー。完璧な布陣だ。
丼から立ち上る、ふくよかな醤油の香りが、俺の食欲をビンビン刺激してくる。
黄金色のスープと、ほろほろのチャーシュー
まずは、スープからだ。レンゲですくい、フーフーと息を吹きかけて、一口。

……ほぉ。 美味い。あっさりしているが、しっかりと動物系のコクがある。
そして後から追いかけてくる、魚介の風味。蕎麦つゆの「かえし」を隠し味に使っているのか?
どこか和風の趣を感じる、ホッとする味だ。冷えた胃袋に、スープの温かさが五臓六腑に染み渡っていく。
続いて、チャーシューを攻める。

箸でつまむと、昔ながらのチャーシュー。
口に入れると、肉の旨味と脂の甘みがジュワッと広がる。これもいい。
立ち食いのクオリティを優に超えているじゃないか。このチャーシューだけで、白飯が一杯食えそうだ。
この平打ちピロピロ麺がたまらない
そして、いよいよ主役の麺のお出ましだ。箸を丼の底に沈め、一気に持ち上げる。

これこれ。佐野ラーメンといえば、この平打ちのちぢれ麺。
いわゆる「ピロピロ麺」だ。 思い切り息を吸い込み、すする。
ズズッ!ズズズッ!
ウン、ウン、いけるいける。 なめらかな舌触りと、モチッとした噛み応え。
この不規則なちぢれが、あの美味いスープをこれでもかと持ち上げてくる。
口の中で麺が踊っているようだ。
大宮の駅のど真ん中にいながらにして、栃木の風を感じる。
立食い蕎麦屋でこれをすする背徳感と高揚感。たまらない。箸が止まらないぞ。
卓上調味料で味変!胡椒が引き立てる一杯の完成形
半分ほど一気にすえ上げたところで、少し変化が欲しくなってきた。

目の前には、胡椒、七味、醤油。ここはやはり、胡椒だろう。
パラパラと白胡椒を振りかける。再び麺をすすり、スープを飲む。 ズズッ。

おおっ、味が締まった! 優しい和風スープにピリッとした輪郭が生まれ、一気に戦闘力が増した。
胡椒の香りが、ノスタルジーを加速させる。
昔ながらの「中華そば」の顔も持ち合わせているんだな、お前は。
ネギのシャキシャキ感も、たまらなくいいアクセントだ。大盛りにして大正解だった。
俺の胃袋は今、佐野ラーメンという名の幸福で満たされていく。
相変わらず美味い。心もお腹も満たされる朝
ズズズッ、ゴクン。 最後の一滴までスープを飲み干し、ふぅ、と深く息をつく。
額にはうっすらと汗。完璧なフィニッシュだ。
「ごちそうさまでした。美味しかったです」
空いたどんぶりを返却口へ持っていくと、厨房の奥で忙しく立ち働いていた店員のおばちゃんが、手を止めて満面の笑顔で応えてくれた。
「ありがとうございます!お気をつけて、いってらっしゃいませ!」
その元気な一言と笑顔が、なんだかとても温かい。 ただ腹を満たすだけじゃない。
こういう何気ないやり取り、人の温もりが、立食い蕎麦屋の醍醐味なんだよな。
相変わらず、美味い。そして、居心地がいい。久しぶりに寄ったが、大正解だった。
店を出ると、大宮駅の喧騒が再び俺を包み込む。 だが、今の俺はさっきまでの俺じゃない。
腹の底から湧き上がるエネルギー。極上の佐野ラーメンの余韻が、俺の背中を力強く押してくれる。
よし、これで都内での商談もバッチリだ。 大宮の立食い蕎麦屋が作る本気の佐野ラーメン、恐るべし。
また大宮に来た時は、寄らせてもらおう。
さて、そろそろ湘南新宿ラインに乗るか。
今回訪問した「大宮駅そば」の詳細
大宮駅そばへのアクセス
埼玉県さいたま市大宮区錦町630 大宮駅構内京浜ホーム
JR「大宮駅」改札内
1・2番線(京浜東北線)ホーム 上尾寄り
| 営業時間 | 月・火・水・木・金・土 07:00 – 21:00 日・祝日 07:00 – 19:00 営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
| 公式アカウント | https://lumiasso.jp/shop/original/#brand_ekisoba https://www.instagram.com/eki_soba_oomiya/ |
| 駐車場 | 無 |


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