「裏セキレイ〜SEABURA no U8〜」のご紹介
目指すは、「裏セキレイ」。
見沼の風が、少しだけぬるい。
湿気をまとった初夏の空気を裂いて、俺はひたすら歩いた。
距離にして、およそ5キロ。
ただ腹をすかせるためじゃない。
この一杯と、真正面から向き合うために。
体を「整えて」きたんだ。
いいラーメンには、それなりの準備がいる。
「セキレイ」。
煮干しの名店として知られるその店が、今は別の顔を見せている。
裏セキレイ〜SEABURA no U8〜。
店主が大阪万博に出ているあいだの、期間限定営業。
普段とはまったく違う、G系ラーメンが食べられるらしい。
ガッツリ。にんにく。そして、ほんの少しのジャンキーさ。
──その“裏”を体験できるのは、今だけだ。
土曜の12時40分。
店に着くと、外待ちはひとりだけ。
……これは、いい。
空腹。汗。期待。
すべてが、G系ラーメンを迎える準備になっている。
もう、体が「食う」ことに集中している。
食券は後買い。
券売機の前に立つ。

「限定A」──迷いは、ない。
今日はこれのために歩いてきたんだ。

数分後。
カウンターに着丼。

……ほぉ。
まず、見た目にやられる。
丼の縁まで迫るような太麺の存在感。
その上に鎮座する野菜、厚切りチャーシュー、そしてとろりと広がる乳化スープ。
香りが……もう反則だ。
動物系の濃厚な出汁の中に、ふわりと立つ白ワインのような爽やかさ。
そして何より、刻みにんにく。
一手間加えられたような香ばしさが、静かに鼻をくすぐる。
まずはスープをひと口。

……っ。
やさしい。
G系特有の「暴力的」な塩気はない。
かわりに、まろやかで、どこかミルキーな口当たり。
背脂と動物系の旨みが丁寧に溶け合って、舌にじわりと広がる。
これ、ただのジャンクじゃない。
計算された、品のある濃厚さだ。

麺を持ち上げる。
村上朝日製麺の手揉み太麺。
縮れと捻れが、スープをしっかりとまとっている。
……ワシワシとした噛みごたえ。
それでいて、重くない。
喉を通るときには、妙にするりと抜ける。
うん、うまい。
この麺だけで完結しそうな満足感がある。
そして……にんにく。
少しだけスープに混ぜてみる。
──はぁ。
やっぱり正解だ。
スープにパンチが出て、ぐっと男らしくなる。
これは……増せたらもっと幸せになれるやつだな。
(有料でもいいから増せるようにしてくれないかな)
チャーシューも絶妙。
噛むたびに肉の旨みがしっかりと滲み出てくる。
背脂スープと一緒に食べると、すべてが丸くまとまる。
食べながら、ちょっとだけ無心になる。
黙々と、咀嚼と満足のリズムだけが続く。
隣の客の音も気にならない。
いま、俺はこの一杯と、完全に向き合っている。
気づけば、丼は空っぽになっていた。
……はぁ、うまかった。
満腹なのに、心が軽い。
やさしいG系。
これは、初心者にもすすめられる。
また来よう。
今度は、まぜそばを食べに来よう。
腹をすかせて。
また、歩いて。
また、食べるために。
今日も、いい昼飯だった。
今回訪問した「裏セキレイ〜SEABURA no U8〜」の詳細
裏セキレイ〜SEABURA no U8〜のアクセス
埼玉県さいたま市見沼区東門前75-1
営業時間 | 月・火・水 11:00 – 14:30 金・土・日 11:00 – 14:30 18:00 – 20:00 木 定休日 営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
オープン日 | 2023年1月17日 |
公式アカウント | https://twitter.com/sekirei_D5 https://www.instagram.com/daigo_sekirei |
駐車場 | 無 |
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